こんにちは、ミキです。
今日は、あの日からずっと私の中に澱(おり)のように溜まっている、ある夜の出来事をお話しします。
それは、代官山にある友人のゲストハウスで開かれた、華やかなホームパーティー。 お酒と開放的な空気が、平穏だったはずの私の日常を、一瞬で「取り返しのつかない場所」へ連れ去ってしまったのです。
夫の視線を背中に感じながら、私は初めて、愛する人以外の「熱」をその身で受け入れました。
……ゲームという名の、悪魔の招待状。
ヴィンテージの家具が並ぶ、広々としたリビング。 夜が更けるにつれ、遊び心は次第に度を越した「真実か挑戦か(Truth or Dare)」のゲームへと変わっていきました。
「ミキ、君への『挑戦』だ。隣に座っている彼のモノを、ここで……」
冗談だと思って笑おうとした私を遮ったのは、酔いと好奇心に目を輝かせた周囲の視線、 そして、どこか期待を含んだ夫の沈黙でした。
「いいじゃないか、ミキ。ゲームなんだから」
夫のその言葉が、私の「妻」としての防波堤を、音を立てて崩した瞬間でした。
……夫の目前で、解禁されるタブー。
促されるまま、私は夫のすぐ隣で、初対面の男性の前に膝をつきました。 立ち込める香水とアルコールの匂い、そして剥き出しにされた、夫以外の「圧倒的な男性」の質量。
窓の外に見える代官山の夜景はあんなに静かなのに、心臓の鼓動は自分でも信じられないほど激しく、甘く疼いていたのです。
「……っ」
指先が触れた瞬間、背徳感で全身の毛穴が開くような感覚に襲われました。 夫が、すぐ横で私たちの営みを凝視している……。 その異常な状況が、私の理性をじわじわと焼き切っていきました。
……防波堤を崩す、背徳の奉仕。
拒むこともできたはずなのに、私は自ら口を開き、その熱を迎え入れました。 夫の親友でもあるその男性の、荒くなる呼吸と、私の髪を弄ぶ指先。
夫の目の前で、他の男を悦ばせているという究極の羞恥。 その屈辱が、私の中に眠っていた「本能」を呼び覚まし、 私はいつしかゲームであることを忘れ、夢中でその「毒」を味わっていました。
口腔いっぱいに広がる異質な熱気と、喉を突き抜けるような衝動。 私は、自分でも驚くほど淫らな音を立てながら、夫への裏切りを深く、深く楽しんでいたのです。
……熱を孕んだまま、戻るべき寝室へ。
パーティーが終わり、タクシーで駒沢通りを走る帰路、夫は一度も私に触れませんでした。 けれど、暗闇の中で響く彼の荒い呼吸が、あのアクシデントをきっかけに、 私たちの関係が決定的に壊れてしまったことを物語っていたのです。
家に着き、寝室の扉を閉めた瞬間。 夫は乱暴に私をベッドへ押し倒しました。
「あんなに、必死になって……」
責めるような言葉とは裏腹に、夫の手は、他人の熱でまだ濡れそぼっている私の奥を、確かめるように探ります。 私の口内にはまだ、さっきの男性の苦い残り香が消えずに漂っていました。
……裏切りの証を、夫に捧げる夜。
夫は、私の身体に残った「他人の痕跡」をすべて塗りつぶすかのように、激しく私を貫きました。
他の男を咥えて濡れたままの身体で、夫を受け入れる。 この上ない罪悪感と、それを共有している夫への歪んだ愛情。
夫の腕の中で果てる瞬間、私は自分がもう、以前のような「ただの妻」には戻れないことを悟りました。 私の最奥に注ぎ込まれる夫の熱。 それが、さっきの男性の残り香と混じり合う感覚に、私はどうしようもない陶酔を感じていたのです。
日常の裏側に、こんな秘密を隠しているなんて、誰も思わないでしょうね。

